小柴昌俊博士の楽しむ最先端科学 「量子物理学・目で見えた!量子の世界」
上田正仁 東工大教授
ボース・アインシュタイン凝縮
量子の不思議な世界
量子とは何か?
「量」は量を
「子」は小さいものをあらわす
量子は最小の単位
古典論
電子は粒子、光は波
量子論
電子も光も粒子であり波である
粒子としての光
薄暗く光る程度に電球をする。同じくらいの高さの振動が間隔をあけて出てくる。
さらに暗くすると、間隔が広くなるだけ。光の最小の単位が存在する。
光子=光の最小単位
波紋や音など波には共通の性質がある。スリットが2つあると別れ、重なる。高いところはより高く。低いところは重なりより低く。干渉。縞模様になる。
干渉と波
光はミクロに見ると光子、光子を集団としてみると波
スリットを一つにすると縞模様は出来ない。
どちらのスリットを通過したかを観測した時点で、波の性質は消える
スリットのどちらを通ったかは観測するまで決まっていない。
量子の不思議
粒子と波の統一
古典論
粒子
運動量P/エネルギーE
波
波長/振動数
量子論
P=h/λ
E=H×f
アインシュタイン・ドブロイの関係式
原子の場合は?
ネオン原子の干渉実験 スリットを同時に通過して干渉
すべて、量子力学においてミクロに統一している。
ボース・アインシュタイン凝縮
超伝導と深く関わりあう。
たくさんの粒子が集まると
2つの種類に分類
集まらない粒子 電子、陽子など
集まる粒子 光子など
原子は温度が高いと原子は粒子でばらばらに振舞う。温度が低くなって量子の振る舞いをすると波。すべての原子が集まって巨大な波になる。巨大な物質の波=ボース・アインシュタイン凝縮
長さは一ミリの楕円っぽいもの。ドラ焼きの形
2001年ノーベル物理学賞
MITケタレ教授
絶対温度1千万分の一度。原子を冷やす=原子の速度を落とす。
原子にレーザーの光子を当てて速度を遅くする。6つの方向からレーザーをあてる。真ん中に原子が集まる。磁器を作った器を作り、下に落ちないようにする。きわめて温度の低い動きのほとんどないものだけ残る。それがボース・アインシュタイン凝縮。
1000万分の4ケルビンではまだ温度が高いものが動くので散らばっている、1000万分の2ケルビンになるとほとんど飛び散らなくなる。1000万分の1ケルビンになるとほぼ完全にボース・アインシュタイン凝縮。
巨大な原子の波は本当に波か?
実証。重ね合わせて波になれば波。
2つのボース・アインシュタイン凝縮体を重ねると干渉する=波。
ミクロな現象がボース・アインシュタイン凝縮でマクロに見える。
ボース・アインシュタイン凝縮の崩壊
磁場を少し変えて引力にする。
崩壊して収縮する。そしてとても小さくなる。小さくなりすぎて見えなくなる。そして崩壊。見えなくなった直後のボース・アインシュタイン凝縮は光る。そして爆発し始める。
崩壊して、自分の力で爆発する。ボース・ノヴァ。
宇宙の星は重力崩壊で、爆発する。超新星爆発。中性子星が残る。上記と類似。さらにでかくすればブラックホールになる。
原子が2つの光子をだす。例:左に飛ぶ光子は上向き、右に飛ぶ光子は下向き。原子から光子がひとたび出ると決まっているはず。しかし、人が観測していなければ決まっていない。我々が知らないだけではない。観測していれば決まっている。左だけ観測したら、決まる。すると、右を観測しなくても決まる。片方を観測すれば、観測していない方の状態も決まる。
量子の世界では、観測するまで決まっていない。知らないだけではなく決まっていない。
量子の分野では観測はとても重要なこと。
月は私が見なければ存在しない。byアインシュタイン
粒子であり波である。
量子の特徴を利用
光通信→量子暗号
二人の間で通信。誰かが情報を盗んでいるかもしれない。紙だったら見ても何も変化しないが、量子力学の世界では見たら状態が変わる。この性質を利用して暗号化。
情報科学→量子コンピューター
量子並列制。100億年の計算が1週間で出来るかも。まだ、理論段階。