April 2006 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

February 25, 2006

情熱大陸

情熱大陸と言う番組が大好きだ。
相当初期の頃絡み続けている。回によって人選や表現が全く違うので、いくつかのチームで交代にやっているだろうなーと思っていた。し、ブログにも書いた記憶がある。
で、先日情熱大陸のウェブがリニューアル。プロデューサーからの手紙なるブログが追加された。

今回のエントリーが好きだ。
こうやって、相手にメッセージを送ることが素敵だと思う。
相手に届かないかもしれないんだけれど。

それと、T君というディレクターの回は覚えている。紛争解決人の回にしろ、東大の助教授の話にしろ、町工場のおっさんの話にしろ。言われれば、同じテイストのような気もする。

彼はもう辞めてしまったらしいが、彼の作り出した番組、彼の視点からの人の写し方、彼の人に対する思いってのをもう一度みたいなと思った。


http://jounetsu.cocolog-nifty.com/plusp/2006/02/2_24c7.html
番組の最後には、いつもスタッフロールが流れる。必ずその冒頭に「演出」としてクレジットされるのが、担当したディレクターだ。情熱大陸はひとりの人物を、ひとりのディレクターが取材する。スタッフの誰よりも、ディレクターは取材対象と多くの時間を過ごす。だから番組は、取材対象とディレクターの人間関係を映したものといえなくはない。

 T君というディレクターがいる。彼が手がけてきた人物は、バラエティに富む過去のラインナップの中でも特に色合いが変わっている。たとえば、町工場の社長。たとえば、マグロ漁師。たとえば、国際紛争解決人。世の中にこんなすごい人がいるのかと、T君にはいつも教えられる。そして、そういう人たちの胸襟を開かせるその取材力に驚かされる。別にT君が特殊な方法を用いているわけではない。洋服や髪型に頓着しないその風貌は、お世辞にも女性にモテるとはいえない。そして、これは一般的にディレクターとしては致命的なことなのだが、かなりの口下手だ。T君から番組の企画意図や構成プランを説明してもらっても、ほとんど要領を得ない。なのに、町工場の社長は彼のために、企業スパイが泣いて欲しがる門外不出の板金技術を見せてくれた。マグロ漁師はひと月の間、毎日舟に同乗を許し仕掛けの妙を披露してくれた。国際紛争解決人は緊張が続くアフガンで、拳銃を携えた軍閥たちとの交渉に同行を許してくれた。

 彼よりも編集や構成が巧みなディレクターはいる。けれど、こんなことは彼だからできた。彼しかできなかったと思う。

 常套句でいえば、取材対象のふところにうまく飛び込む、ということなのだろう。たしかにT君は人懐っこい笑顔の持ち主ではある。口下手だけど、その朴訥な語り口からは実直さが伺えたりもする。けれど、そんなことだけで、取材対象の心をつかむことはできないはずだ。 

 そう確信したのは、T君が、東京大学先端科学研究センターの福島智助教授を取材したときだ。福島先生はバリアフリー研究の第一人者で、彼自身が障害者である。9歳で視力を失い、十八歳のときに聴力を失った。全盲で全聾。いまは、何も見えない。何も聞こえない。取材交渉もインタビューも簡単にはいかない。ディレクターの言葉は、「指点字」という両手の指先を点字タイプライターに見立てた特別なコミュニケーション技術を持つ介護者を通してしか伝えるすべはない。だから、T君が人懐っこい笑顔を浮かべたところで福島先生には意味がない。そのおしゃべりの朴訥さも指点字では翻訳されない。己の存在を福島先生に認識してもらい、やりたいことを分かってもらう困難さは、考えただけで気が遠くなる。でも、福島先生は彼のことを信用してくれた。信頼してくれた。そして、ほとんど受けたことがないというテレビ番組の取材を受けてくれた。

 T君はこういった。
「福島先生が立ち向かっている困難に比べれば、どんな苦労もたかがしれてます」

 取材テープに、福島先生のマンションの前で帰宅を待つシーンが写っていた。道を歩いている福島先生夫婦。途中、奥さんがT君に気づきそのことを指点字で先生に伝える。すると福島先生がT君の方に微笑みかける。 

 もう一度いうが、福島先生は目も見えないし、耳も聞こえない。だからT君の外面は知らない。顔も、声も、知らない。なのに、ちゃんとT君がわかる。もてる神経の全てを集中してT君を認識する。そして、内面しか知らない、内面だけを知っている彼の方を向き、笑みを浮かべる。

 とても不思議だった。とても嬉しかった。こういう人と人の人間関係がそのまま番組になっているということが。


 いま、T君はアメリカにいる。日本を離れ、そしてテレビの世界からも離れてしまった。理由は聞いていない。聞いても、口下手の彼はうまく説明してくれなかったと思う。

 元気ですか、T君。いま、どうしていますか、高橋伸征くん。

 また、いつか。そして、きっと、また。

チベット自治区州都ラサ

シーニンという以前エントリーした町から、48時間程度移動しっぱなしでチベット自治区の州都ラサに着きましたとさ。

シーニンから夜行電車でゴルムドへ15時間。それから33時間ほど1200kmを移動。標高6000メートル弱を通るので高山病になる。寝ると症状がさらに重くなるからということで徹夜。

標高が高くて冬で空気が澄んでいる、かつ周囲数百キロに灯りはまったく無い。ってことで、星が輝いていました。あんなに澄んだ色のした無数を見たのは初めてで、感動しっぱなし。星の輝きの透明度が違った気がする。本当に輝く色が済んでいてきれい。それと、周囲に何も無いので360度パノラマ。オリオン座が移動するのがわかった。星の数はガラパゴスの次ぐらいな気がした。

ラサはあまりおもろくないので、西を目指します。
しかし、高度に慣らすため、ラサ(富士山ぐらいの高さ)で高度順応してから、とりあえずエベレストベースキャンプを攻めます。エベレストなんか上れるはず無いけど、そこからはチョモランマが見えるらしい。

冬のチョモランマは美しいようだ。