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October 11, 2005

南米の旅路、その11

ウユニ塩湖からサンファン

とうとう着いたのだ。あのウユニ塩湖に。2年越しの憧れの地である。ここまで惚れ込んだ場所も今までなかった。僕には強烈過ぎる場所だった。このブログにも何回エントリーしたかも分からないぐらいだ。さらに、周りの人もウユニ塩湖なんて普通に生活していれば知るはずもないのに、知った人が多かっただろう。まさに、そこに、ついに、来てしまったのだ。水がボコボコ湧き出るところ、錆びたような茶色が白い塩の大地に付着しているところも少しあった。しかし、塩湖の中心に行くと完全に真っ白になった。車輪のあとがまっすぐ見えるところがあるぐらいである。それ以外は、塩の硬い硬い結晶が一面を覆いつくしていた。

ジープは塩のホテルに来た。塩湖の中に塩で作られたホテルがあるのだ。壁は塩のブロックで作られ、テーブルも椅子も塩で作られていた。しかし、僕は塩のホテル自体に興味はない。塩湖の真ん中にいるということに価値を感じていたのだから。だから、カバンをベッドに置くとすぐに外へ出た。外に出ると一面真っ白な塩の大地がまっていてくれた。風の吹く寒い潮の大地で、塩と向かい合った。水平線というのか地平線と言うのか分からない。けど、地の果てまで真っ白の平面が続いていた。ちょうど太陽が傾きかけてきたコロだった。太陽に向かって歩いていっても太陽に近づけない。でも、太陽に向かってまっすぐ歩いた。ずっと歩いた。右も左も東も西も北も南も分からないような、何もない真っ白な平面を太陽に向かって。ただひたすら歩いた。

そして、ふと立ち止まり。寝転がった。僕はいろいろなところで寝転がる。そしてたまに寝てしまう。大人になってまでいろいろなところで寝転がるのはみっともないとか、汚いといわれそうだが気にしない。寝転がって、体全部で大地を感じることができるのだ。足で立っているときとは大地との接触面積が違う。視点も違う。感じるものは全く違うのだ。寝転がると大地と向かい合い、一体化できる気がする。ガラパゴスでも寝たし、ナスカでも、マチュピチュでも、チチカカ湖でも寝た。僕の自然との向かい合い方だ。あの、見上げた時の空は今でも忘れられない。

寝転がった、足も手も伸ばして大の字になった、叫んだ、大地を殴った、空を見上げた、でも何も起こらなかった、天を仰いだ。これが自然なんだ。俺一人の力で自然に立ち向かうってことはこういうことなんだ。情報化社会の現代は個人でも世界中の人々に大きな影響を与えられる。でも、自然はそんなわけにはいかない。それから、仰向けに、うつぶせに、転がった。逆さで写真を撮った。空も大地もどちらか分からなくなったが、どっちでもいいや、と思ってしまった。大地をなめた。しょっぱい。塩だよ。塩。本物だよ。当たり前だ。地面を見れば塩の結晶となっているのもすぐに分かるのだから。でも、使っていなかった感覚で試すと、脳では知っていたことでもハッと気がつかされる。

そんなことをしている間にも、太陽は大地に近づいてきた。太陽は空を色づけた。雲を色づけた。それも無数の色に。本当に美しかった。太陽はどんどん低くなり、大地にまで迫ってきた。また、水平線に沈みゆく夕日だ。美しい。美しい。ふと後ろを振り返えると、自分の長い長い影が伸びていた。その先まで目をやると白い月が出ていた。なんと神秘的な世界なんであろうか。

太陽は完全に沈んだ。しかし、まだ太陽は雲を照らしていた。雲の色が赤とオレンジの間の色になり、大きな雲だけを色づけていた。そのほかの雲は色づけられていなかった。それを見た時にオーロラかと思うような。これもたまらなかった。真っ白な塩の大地を色づけていたのも言うまでもない。大地を満喫し、塩のホテルに戻り夕食をとったあと、そとに出た。夜の塩の大地を見るために。外は白夜のようだった。大地が白い上に、今夜は満月だからだ。そんな神秘的過ぎる、なんかこの輝く夜はかぐや姫が生まれるのではないかと一瞬思ってしまった。

翌朝5時過ぎに起きた。朝日を見るためだ。昨日よりも雲が少なく、今日のウユニは昨日と違った顔を見せてくれそうな予感が朝からした。眩しい眩しい太陽が昇ってきた。それも美しかったのだが、その周りに広がる空の色の変化が美しすぎて日の出すらインパクトを失ってしまうほどだった。もう、なんてたとえればいいのか、何と表現していいのかが分からなくなってしまった。大地と空の低いつながって見える部分にかけての青さと淡いオレンジ。やわらかい赤色。これは見とれてしまった。完全に心を奪われた。

ジープは朝迎えに来る予定だったが、来たのは昼の14時ぐらいだったと思う。遅すぎで同じ車の人はご立腹だった。しかし、僕は長い間、何もない塩湖の中にいられて幸せだった。今日の塩湖は雲がない。空が青い。青すぎる。眩しくて、皮膚が痛いくらいだ。サングラスをした。歩いていると塩の台地の上で力尽きたすずめがいた。この大きな大地と真剣勝負をしたすずめはその戦いの間に力尽きてしまったみたいだった。これが、自然であって、見た目はガラパゴスとは全く異なるが自然に生きるということについては全く同じ気がした。

サボテンの島に向かった。ここは、塩湖の中にある島である。そこには大量のサボテンがあるのでサボテンの島と呼ばれている。日差しが強かった。眩しかった。島の頂上まで上った時、風が強かった。白かった。サボテンが力強よく見えた。雲の形が大地にそのまま映った。なんか、とんでもないところだ。

ひたすら広大な白い台地を車で走り続けた。心も照らされて、ワクワクするような光景だった。このまま塩湖とさようならだ。そこで、塩湖を殴って、塩の結晶を何とか取った。硬く、しっかりとくっついているので正直塩をとるのは大変だった。塩のひび割れが見え、大地は茶色くなり、塩湖は終わった。そして、荒野を走り続けた。また、日が落ちまん丸の月が昇ってきた。この月がきれいできれいで。太陽が沈んですぐの月はなんてきれいなんだろうか。サンファンと言う集落についた頃には、丸い月の光しか見えなくなっていた。

南米旅行写真その1
エクアドル、ガラパゴス、赤道、リマ、ナスカなど

南米旅行写真その2
ポトシ、ウユニ、ナスカ、クスコ、マチュピチュ、チチカカ湖など

南米旅行写真その3
ウユニ、チリ、アメリカなど

コメント

この文章、いいな

Posted by: n at October 13, 2005 01:05 PM
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