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October 11, 2005

南米の旅路、その12

サンファンからラグーナコロラダ

サンファンと言う町を日の出と共に出発した。この日はアオゾラの日だった。僕が一番大好きな真っ青なアオゾラの日だった。この空を見たいと思ってきた南米だった。雲ひとつない青い空が大好きなんだ。標高が5000メートルぐらいだから、空気が澄んでいて青さが増して見えるのだろうか。青い空を見ながら、荒野をひたすら車で走り続けた。道なんかあるはずもなく、車は揺れに揺れた。そんな中、丘に登って周りの山と青い空をみたり、冷たく澄み切った空気を吸ったりした。車が進むと突然ラグーナ(湖)が現れた。5つぐらい見ただろうか。真っ青な空。空に向けて聳え立つ山。澄み切った湖。鮮やかなフラミンゴ。絵の世界のようだった。現実とは言いがたいような風景だった。

こんな風景が当たり前のようにある世界も、世界中探してもめったにないだろうと思う。そんな風景を見ていたのにもかかわらず、車で坂道を登っている時に、目に飛び込んできた。いてもたってもいられなくなるくらいの風景。完璧だった。何の無駄もない美しさ。自然と言うのはここまでのものを何の意図もなしに作り出してしまう。何の意図もないから作れるのかもしれない。ただできたものを人間がそうやって意味づけしているだけと言ってしまえばそれだけだろう。でも、そういいきるのがもったいないほどの景色だった。僕は車を止めてもらい、外に飛び出た。そして、その自然と向かい合った。息を呑む風景だった。しかし、写真に撮ったらうまく取れなかった。写真では表せないスケールだったのだ。

その後も荒野を走り、山を登り、ラグーナを見た。そんな時、車が雪にはまってしまった。標高5000メートルでこんなことになるとは。高山病でダウンしてしまった人もいた。しかし、雪をかいて、タイヤに石をかまして、車を押さないと何も解決しない。石を運ぶのは小さな石なのに息が切れた。それだけの高度にいたのだ。2時間近くひたすら車の救出をした。ここで夜を明かしたら凍え死ぬほどの寒さだ。マイナス25度といわれるほどの寒さに夜はなってしまうのだから。必死に押した。必死に運んだ。必死に雪をかいた。そして、ついに車は発進した。うれしかった。たまらないほどうれしかった。この瞬間を求めていたのだから。

それから、岩が丸っこくなった岩壁をみたり、下が削られ上だけでかいままの石を見てラグーナコロラダへ行った。そこには3軒ぐらいの宿があった。ここが伝説の寒さの場所だ。毛布は5枚ぐらい。上着は8枚、ズボン3枚。そんなんだった。屋根はビニールシートで風が入ってきていたのだから。ラグーナコロラダは有名だったが、そこまでひきつけられなかった。それまでに、すごいものを見続けていたからか、外が寒すぎて出たくなかったのか。それは分からない。しかし、満月にはまたやられた。やられた。いちころに。ちょうどラグーナの位置から満月が出てきた。まだ低い位置だったので大きかった。それは輝く大きな月だった。それに、湖の水が赤くなっており、空は赤みがかっていた。こんな状態は想像もしたことなければ、絵でも写真でも見たことがない。たまらなかった。美しさのきわみではないかと思った。あの極限の寒さが美しいと感じる心に輪をかけていたのかもしれない。

南米旅行写真その1
エクアドル、ガラパゴス、赤道、リマ、ナスカなど

南米旅行写真その2
ポトシ、ウユニ、ナスカ、クスコ、マチュピチュ、チチカカ湖など

南米旅行写真その3
ウユニ、チリ、アメリカなど

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