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December 11, 2005

横浜トリエンナーレ2005

みなとみらいの山下倉庫の埠頭でやっていた、横浜トリエンナーレにいってきた。スカイザバスハウスのアニッシュカプーア展、森美術館の杉本博司さんの「時間の終わり」に続いてだ。連続で芸術の冬とでも言えるぐらい。あいかわらず、まとめてどどどって性格だ。

東京で初雪を観測したその日の朝、横浜へ向かった。来週で終わってしまうので、混んでいるかと思っていたが、たいして人はいなかった。ゆっくり楽しむことが出来たが、寒さは半端なかった。

今回のテーマは「アートサーカス(日常からの跳躍)」らしい。チケットを買い、中へ。入ってすぐ、「DIVA AIR LINES」ってのでうける。電車の中でスチュワーデスの服装をした人が平然とドリンクサービスを始める映像。出勤風景も映っていたり、乗客のリアクションが面白かったり、バルセロナとソウルでも撮影していたのが面白かった。両方ともいったことのある都市だし。

それから、その横に故・高松次郎さんが昔に作った影の作品 《工事現場の影》。これは東
京銀座で新築中のビルの工事現場の外壁としてつくられたものらしくって、縦2,5メートルぐらいで横7,8メートルはある大きな作品。白の背景に通行人の影が映っているよう作品。当時これは一日で撤去されたらしい。芸大の友達が、この作品の再製作をしたと聞いていた。この作品は影の配置のバランス が洗練されてた。影の色の濃さと影の間の空間の精度の高さを感じた。現代アートではあまり「静かな美しさ」を個人的には感じないが、この作品にはそれを強く感じた。

その後、いろいろな作品を見たが、印象に残っているものをいくつか。

暗い部屋の真ん中にぽつんと一つ大きな昔の真空管のような電球があった。周りには木の棒の細長い腰掛がおいてある。入り口は二つ。そんな状況。みんな中に入る。俺も入って腰掛ける。何だ?何も変化がない。よく分からない。すぐに出ようかと思ったが、とどまった。誰かが、口に指を当てて静かにってポーズをしている。中の人が徐々に気がつき、静かになる。すると、ぼぁーんって暖かい色の光が明るく灯った。すると、みんな満足したらしく出て行った。俺はなんか気になってまだ居座った。その間もいろいろな人が出入りする。話しながら入ってくる人、申し訳なさそうに来る人、一人で来る人、2人で来る人、若い人、おばちゃん。出入りが止まらず、明かりはつかない。だから、気づかずに(明かりがともるのを見ることなく)出て行く人が8割ぐらい。静かにと促す人、じっと待つ人、すぐ出て行く人、みんな静かなのに何?何?と話すおばちゃん。いろいろな人の行動を含めた上での作品なんだろうけど、やっぱこの人の行動は面白い。しばらくすると、空気の読める人がそろったのか、すぐに静かになった。するとまた明かりがついた。人数が多いとより明るく、より早く灯りがつくようだ。一回強く灯りがついて、また弱くなった、しかし、みんなまだ静けさをしっかり保った。すると、また、ぼぁーんと明るくなり、強く光を放った。これを、4,5回繰り返した。何というか、光にありがたさを感じた。それから、人が出て行ったがまだ残った。すると、出入りが激しく、ザワザワして光らない時間が続いた。そして、静かになったらまた少し光った。すると、みんなすぐに動き出して、光のショーは一瞬で終わった。そして、僕もこの作品を後にした。

それと、大きな部屋というかボックスに小さな丸い穴がたくさんあいていた。そこから、中をのぞくとたくさんの犬のオブジェのようなものがたくさんあった。それも中は二階建てで、それぞれ雰囲気が違った。これはなんか面白かったなー。たぶん奈良さんの作品。

その他にも多くの作品があった。鉄パイプで階段が作られていた作品。部屋に電球が一つある作品が印象的。あと、穴から犬をのぞく作品とか、三角錐の形の金色の千羽鶴とかはパンチがあった、影が映る作品とか、DIVA航空という列車で飲み物サービスする映像とか、島の周りを歩く女性の映像・これはなんか面白かった、電線に像とかがあるのとか、丸いクッションの部屋・けっこうリラックスできる、ブランコ、インド人の顔の作品、つみきで糸の張り具合を変えられて音を鳴らすもの・これは幼稚園に戻った気分で遊んだ、暗い大きな部屋の中に砂漠のような大地があり、そこで映像が映し出されるもの、アメリカンな感じのコミカルな人形みたいなの、大きなサッカーゲーム、冬の登山の道具が並べられているもの、黄色いビールケースで作られた空間、電話ボックスの作品、トラックの荷台の中で映像を見る作品、その映像はロケット花火がピューピューと飛ぶもの、いろいろな建物のドアを写して開けるときの人の表情や、その時の音で音楽を表す映像、壁に接したタイヤが回転して削れているもの、本当にいろいろ。

15万人突破と書いてあったが少ない気がする。1000円の入場料で計算しても、、、1億5千万。これじゃペイしないよな。実際に人も少なかった。日曜日、さらに再収集の前の週なのに。
イベント的な時間の流れを持つ盛り上がるものが日本人は好きなのだろうか。それとか、昔に作られた作品(海外や日本を問わず)を好むからなのか。上野の展覧会はいつも人であふれているから、やっぱそうなのかな。財政面で続けるのは難しいんだろうなって率直に思った。

世界遺産、遺跡移築

いつものことだけど、情熱大陸と世界遺産の流れは最高だ。
情熱大陸をみて、この人かっこええなぁ。って思って、それで、世界遺産の映像の美しさと曲の美しさの重なり合いで心が洗われ、新たな地への憧れをいだく。

今回の世界遺産は危機遺跡。番組のはじめにいくつかの世界遺産の映像が流れた。その映像かっこよかったなぁ。って思った。メインはイランのバム遺跡だった。しかし、番組の前ふり的な感じで危機遺跡の事例としてエジプトが出てきた。

アスワンハイダム建設によってエジプトの遺跡を移動しなければならなくなったそうだ。そして全体を移築したらしい。そしてテレビでは移築の成功と言っていた。確かに、「移築」は成功したんだろう。でも、全体を移築したから良いってもんではないと思う。遺跡はその場所にずっと昔に作られ、その場所で役目を果たしてきた。そこの場所に染み付いたものがあると思う。その場所にあるからこそ意味があるとでも言おうか。どんな川が流れ、どんな土壌で、どんな植物があったか知らないが、それらのもともとの自然条件(前提条件)があった上で、遺跡は作られたのだから。

まあ、テレビ番組的な表現としては「成功」という方がよいということもわかる。言わないわけにはいかない。まあ、純粋に土地を含めた上での遺跡だよなって思ったから書きました。

アあと、スワンハイダムの建設を批判しているわけではない。詳しいことは知らないが、そこに作るらなければならなかったのかもしれないし。